2020年06月11日
新型ウイルス
研究員
今井 温子
政府は2020年5月25日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を解除。それを受け、筆者が在住する神奈川県川崎市では6月1日、ほぼ3カ月ぶりに小中学校が再開された。「ステイホーム」から解放された子どもたちは、ようやく友だちと会えてうれしさ爆発。親も肩の荷が少し軽くなり、ほっと一息つけた。
それでも、再開1週目の授業は午前中だけ。さらにクラスを前半組と後半組に分け、「3密」回避のための対策が講じられた。2週間目からは午後の授業も始まったが、クラスは前後半組に分けられたまま。ようやく3週目以降、給食が再開、通常授業が復活する。
ただし通常授業でも、40人前後の高学年の学級は特別教室を使って2つに分け、ソーシャル・デイスタンシング(他者との距離)を確保する。顕微鏡を使う理科の実験は、目を接眼レンズに密着させる際の感染リスクから延期。家庭科の調理実習もグループ作業を避けられないため、見送られる。
このほか、部活動は当面休止。給食では友だちと机をくっつけることは許されず、独り黙々と食べなくてはならない。感染防止が最優先だから仕方ない。だが、中学1年の長女に新しい友だちができるのか、親としては不安を拭えない。小学4年の長男もクラス替えで親しい友だちと離れてしまい、「給食なのにおしゃべりできなくて、さびしいよ」と肩を落とす。楽しみにしていた社会科見学も早々に中止。また、6年生は最大イベントの修学旅行がなくなり、悲しみに暮れる。
学校側も未経験の危機なのに、子どもの安全を守ろうと対策をいろいろ講じてくれ、親としては感謝の気持ちでいっぱいだ。ただし、30人を超える教室での授業・給食・体育着替えを考えると、3密を回避できるのか心配だ。感染再拡大で再開直後に休校を余儀なくされた、福岡県北九州市の学校のニュースに接すると、集団授業に対する不安は拭えない。
こうした不安が残されたまま、学習塾や習い事も一斉に再開した。長女の通う塾はオンライン学習(Google Meet)から対面授業に切り替えた。先生と子どもにフェイスシールドを用意してくれ、親としてはちょっと安心した。また、子どもや保護者からの質問・面談については、オンライン対応も継続してくれた。
フェイスシールド(イメージ写真)
(出所)リコー
長男の学ぶ個別指導の塾では学校再開後も、対面授業とオンライン授業(Zoom)のどちらかを選べる。またペン習字教室では、①生徒数を絞り込んだ少人数クラスで受講②教室で課題の授受③郵送で課題の授受―の3つから選択できる。しかも毎月変更可能であり、親や子どものニーズに合わせる柔軟な対応に感心した。ただし、筆者は在宅勤務でTeamsを使っており、さまざまなビデオ会議システムへの習熟は親にとって新たな負担になる。
新型ウイルスとの戦いは長期戦。子どもたちが安心して授業を受けていくには、状況に応じた柔軟な対応が必要だと思う。そのためには、これまで以上に、学校・家庭の協力・信頼関係が求められる。例えば、学校もオンラインシステムで家庭の不安や要望を吸い上げ、リアルタイムで問題・課題を共有していただけないか。コミュニケーションが一層滑らかになると思う。「第2波」が襲来する前の今こそ、こうした備えを整えておきたい。
今井 温子